11月2日の朝。
私はいつも通り制服を着て学校へと向かう為に家を出る。
今日の天気予報はずっと晴れだったし、これならきっと大丈夫だよね?
この後の予定を思い浮かべると自然に笑顔が浮かんでくる。


「和葉」

「あ、正輝おはよう」

「おはようって……何その荷物」


正輝は苦笑い気味に私の肩にかかっている鞄を見ていた。
スクールバッグの他にもう1つ、大きい鞄を今日は持ってきていた。


「何って……今日の準備?
それより許可貰えた?」

「ん、和葉とならいいって」

「な……なんか恥ずかしいけど良かった!」

「って言うか外泊の許可を取れって言われたから言う通りにしたけどさ。
……何処に泊まる訳?俺あんまりお金持ってきてないけど」

「大丈夫大丈夫!」


私は笑いながら誤魔化した。
出来る事ならギリギリまで内緒にしておきたかったから。

そんな私を不思議そうに見る正輝。

今日……明日が、キミにとって一生の思い出になります様に。

ぎゅっと目を瞑って空を仰いだ。

目を瞑ってても感じる眩しい光。

暫くそうやって光を感じていたらパシリと頭を叩かれる。


「痛ッ!!」

「ちゃんと前を見て歩きなよ」

「はーい……」


頭を押さえながら歩き続けようとしたら急に肩が軽くなった。
驚いて隣を見ればさっきまで私の肩にかかっていたはずの鞄を正輝が担いでいた。


「自分で持てる……」

「こういう時は素直に甘えなよ」


ツンと言い放つキミ。
少し不器用だけど、やっぱり優しい人だ。


「……ありがとう!」

「ん」


キミはそう言って手を差し出した。
その手に躊躇なく自分の手を重ねる。