「よぉ…、来たか。大榎桜良。」

東雲泰介はあたしが東雲組の倉庫のドアを

開けるとこっちを見るなり近づいてきた。

「話は聞いたか?」

あまりにも淡々と言うから、

あたしはあの時と同じく頭に血が上った。

「あれだけ仁人は関係ないって言ったでしょ?

どれだけあたしが怒ってると思ってんの?」

自分でも驚くほど低い声だった。

「まあまあ、怒んなよ。でも今日お前は

喧嘩できる体じゃない。反抗したら…

今度こそ命はないからな。」

「怒んなよとかあんたに言われたくないわよ!

そんなことより仁人は無事なわけ!?」

「あぁ…あいつは、あっち。」

東雲は奥の方を指差した。