静かな理科室の窓際にあるロッカーの上で男女が隣り合わせで座っている。


普段の僕らから見たら明らかに不似合いな姿だと思う。


半分だけ開いている窓から強い風が吹き抜けてカーテンがヒラヒラと舞っている。


そして音を立てながら…


まるであの日のように…



理科室に漂う独特な薬品の匂いにはもうとっくに慣れた。


むしろ、この匂いを嗅ぐと落ち着く。


自分の心はもうそこまで、あの日の記憶と、匂いに囚われて抜け出せなくなったのだ。



一生忘れてはいけないこの独特な匂い。



だからこうやって自分を戒めるように毎日放課後になると足を運んでいるのかもしれない。



(君はなんで毎週ここに来るの?)



互いに理由なんて尋ねない。
それが互いにとっての一番だと知っているから。



ただ、これだけは確信できる。
僕らはいつだって、どこかで繋がっている。