カフェテラスを出て、夜道を2人で歩く。

とつとつと、5年間の仕事や私生活、知りうる範囲の航の情報を教えてくれた。

そして語る。

「瞳という人間の本質が変わるわけではない」


ーおれは瞳の外見や体、好み、言葉、
確かにこれらは瞳を構成する要素だけれども。

ーおれは〝伊世乃 瞳〝という人間を丸ごと愛しているんだ。

ーだから、例え瞳が俺のことをきらいになったって、
俺は瞳のことを好きなんだよ。


「好きだよ、瞳」


ー会わなくなって、5年経ってもこの思いは変わらない。
付き合ってなくても変わらない。

ーでも、願わくば、俺一緒にいてもいいなって、少しでも思うのなら、
指輪を受け取ってほしいんだ。


そう言うと、シュシュを片手に歩道に膝をつく。

「結婚して下さい、瞳さん」

周囲の様子も気にせずに、真っすぐ見つめられて、
瞳はおもわずきびすを返しそうになる。

志皇が、手首をつかみ、瞳を抱きすくめた。

「やっと、やっと言えるって思ったんだ」

ー愛している

耳元でささやかれる。
瞳は何が何だか、もう考えられなくてなっていた。

抱きすくめられて、愛がふれ合う体から流れ込んできた。

愛されるってこういうことなんだ。

愛するって、こういうことなんだ。