「ねぇねぇ」そんな可愛らしい女の子の声が聞こえた。
「大丈夫?」心配そうに尋ねる小さい男の子の声だ。
きっと二人とも小学校一年生位だろう,
これは今どんな状況か探ろうとした瞬間,視界全てが暗くなった。そして一瞬だが浮遊感が全身を包み込んだ。
次に自分が居たのは自室のベッドの上だった。
どんな夢を見ていたか覚えていないがおそらく嫌な夢だろう、背中は汗でぐっしょりに濡れている。
何故か最近いつもこうだ、記憶が無いのに嫌な夢を見たことは覚えている。
こんな風になったのは確か…
「純~いつまで寝てるの早く起きなさい」
そんな声が聞こえた。
またか…
思い出せそうになるといつも邪魔が入る。
もう何も思い出せなくなった自分にイライラしながら階段を下りた。
朝の準備を済ませると
「いってきまーす」と玄関を出た。
中学生になってから何かが変わった。
気がした本当に何も思い出せない昔はいたはずの親友そして,この事を考えると何故か思い出す頭痛の感覚。
何かを忘れている、思い出さなくてはいけない記憶…