縮まらない距離を嘆きながらも、続ける雑用係。


今まで1度だって首を横に振ったことはない。



そんな私に、また期待してしまうような出来事が起きたのはついさっき。



6時間目の授業を終え、音楽室から戻ろうとしていた私を

「おい、チビ。」


呼び止めたのは、森田の声で


「明日の試合見に来いよ。」


返事をする間もなく、振り返った私にそう告げたのもまた森田の声だった。


もちろん私は首をそりゃもうすごい速さで縦にブンブン振って行きますオーラ全開で答えたんだけど、


今考えたら、また森田は『ずいぶん嬉しそうだな』とか思ったんだろうな。

くそ、恥ずかしい。


でも、それ以上に嬉しい。

初めて見に行く森田の試合、勝つといいな。私は森田の勝利の女神…なんつって。