し、しまった……。
これだと居留守も寝ていたことも出来ない。
慌てて口を手で抑えるが遅い。

「愛美。やっぱりもう一度ちゃんと
話し合おうと思って。
こんな中途半端な気持ちじゃあ、お互いに
スッキリしないし……」

「スッキリさせたいのは、あなただけでしょ!!」
私は、言い返す。

何が中途半端じゃあ、お互いにスッキリしないよ。
そんなの自分がスッキリさせたいだけじゃない!!

今さら何を話したらいいって言うの?
謝罪?それとも見苦しい言い訳?
そんなの聞きたくない。

私が聞きたいのは、そんな事じゃない。

「違う……俺は、本当に君が好きだった。
今でも……許されるならやり直したいぐらいだ」

何を言ってるの?今さら……
恵梨香を選んだくせに。

「前にも言った通り……誘惑には勝てなくて。
でも最初は、断ったんだ!!嘘じゃない。
だけど、彼女の弱さに触れてその……関係を」

やめて。
そんなこと聞きたくない。

言い訳も……恵梨香のことも
今は、聞きたくない。
耳を抑えながら踞る。涙が溢れて止まらない。