ケータイ小説 野いちご

僕は、花本美咲を忘れない

そんな世界は

パトカーのサイレン、救急車のサイレン。


その音が聞こえれば、昔はどこから聞こえるのかとキョロキョロしたものだった。



今となっては、その音を聞くことは珍しいことではなくなった。


あぁ、またか。


それくらいの意識となっていた。



パトカーに追われる者、その追われる者がした罪、その罪によって苦しむ者。


それについて深く考えたことなど、気付けば一度もなかった。


救急車によって運ばれていく者、その者の病名や怪我、その者の家族。


それについて案じたことなど、気付けば一度もなかった。

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