達巳が響を送ると言ってから約数時間が経過した
しかし、達巳はなかなか帰って来ないので圭はソワソワと落ち着かないように歩き回っている
「…ちょっと、初めてのお使いに心配する親みたいな事しないでよー」
「あ?」
あまりにウロウロとしていた圭に歩は呆れたように注意する
「いやー、総長がこないにオモロい事するなんて。あの子ますます興味深いですわー」
怜はニヤニヤとしてパソコンをいじりながらそう言うと圭は眉間にシワを寄せて怜を睨み付けた
「……お前、何調べてんだ?」
「えー?そりゃあの子の事に決まってはりますやん」
「───止めろ」
地を這うような低い声に、怜はピタリとにやけ顔と手を止める
そしてゆっくりと圭の方に視線を向けてにやけ顔から一転、真剣な顔になり椅子から立ち上がった
「…何言うてますの?」
「余計な事はすんなっつってんだ」
「はぁ?余計な事ちゃいますよ。僕ら幹部はアンタを守る義務があるんや。得体も知れん女をどう信じろって?」
鋭い目つきで怜が睨むと圭はそれに負けず睨み返す
その睨みは怜よりも背筋が凍るようで、周りの皆も口出しが出来ない程だった
「…アイツは、アイツなりに何かを抱えてる。それはお前らだって気付いてんだろ?」
圭の言葉は皆を黙らせる程に納得している事で、一目見ただけでも分かってしまう
似ている人や同じ人は瞳を見ただけで分かる
それが彼ら、黒龍士の強みであり魅力であるのだ
何かを背負っていると響を見た瞬間に全員が薄々分かっていた
「…はぁ~。分かりまへんなぁ、何でそないにあの子に拘るんです?たった一回派手に転かされたからて」
「何で知ってんだよっ」
「僕をなんやと思ってはりますの?それぐらい、調べたら簡単に分かりますよ。…まぁ、空太が頭抱えたそうに思い詰めたような事してなかったら調べようや思わんかったけど」
思わぬ暴露に圭は顔をしかめたが、咳払いをして気を取り直し「兎に角、調べんなよ」と一言言ってから自分専用の椅子に座り直した