-莉子Sibe-

響と出逢ったのは、高校一年の春が終わる頃だった

転入生として来た響の最初の印象は今と違っていて、まるで“生きている”ような感じがしなかった

『…藤崎響です』

自己紹介もそれだけで、宜しくという言葉も笑顔すらなかった

最初は皆も響に近寄って話を聞こうとしていたけど、響はただジッと窓から見える空をみていた

だから皆も諦めて響から離れていったけれど、響自身はむしろそれを望んでいるようだった

変な子だなってアタシは不思議に思っていたけど、関わろうとはしなかった

だってアタシを知ったらきっとその子もアタシを嫌うだろうと思ったから

……昔から、アタシは可愛いだとか美人だとかで男子に好かれていて…それをよく思わなかった女子に毛嫌いされていた

アタシは何もしていないのに、いつも女子から嫌みとか言われて女の子の友達はいなかった

でも、そんなアタシにも一人だけ女友達が出来た

それが響だったの

と言っても、アタシがグイグイいってやっとって感じだけど

……それでも、アタシは嬉しかったの

響が友達になってくれて、アタシの世界が毎日楽しくなったんだから

響がアタシの世界を明るくしてくれた

だからそこ、響にも幸せになって欲しい気持ちはある

あの子が背中を押してくれたからアタシは青木君と恋人関係になれた

たった一言の“頑張って”がアタシを支えてくれたから

次は、響の番だからね!