あれから、一ヶ月という月日が経った。


一ヶ月前と変わることなく、

たくさんのチューブにつながれた

菜乃花が病室にいる。




ひとつ変わったのは、

ふっとした瞬間に少しだけ、

指を動かすということ。



それを見る度、

菜乃花は生きていると感じる。



「智也。菜乃花ちゃんどんな感じ?」

「たまに手を動かすくらい」

「先生が言ってたけど、それってちゃんと声が届いてるんだって」



周から菜乃花へ視線を動かした。