悪は呟きました。



どうして、どうして優しくするの?
冷たくしても
嘘をついていても
優しくしないでよ

悪魔は嫌われるのが当たり前なんだから。
怖がられるのが当たり前なんだから。


この世にいてはいけないんだから・・・・・




天使は震える悪魔に手を差し伸べて言いました。




あなたはどうして光を見ようとしないの?
目の前に広がる明るい光を 



悪魔は目を逸らして答えました。
  

「自分を見つめるのが怖いから。自分が醜いから。」
 


悪は一筋の涙をながしました。





天使はその時少し笑うと一歩身を引いて腰に差した剣を取り出しました。



「私は天使ではないよ。ただの人間の戦士だ。傷ついて、傷つけて、それでも戦っているのよ。」

悪魔は涙を拭き、なぜ戦うの、と尋ねました。


彼女は澄んだ空を見つめて笑顔のまま言いました。