七月十九日。
終業式を終え、少しずつ皆が帰り始める。

私はというと、例のベンチに座って日野雄大を待っていた。


「お待たせしました日野ちゃん」


日野雄大はそう言いながら右手に持ったスーパーのレジ袋を掲げてやって来た。


「遅い」


チッ、と舌打ちが聞こえたあとに日野雄大はニッコリ微笑んだ。

よくそんなにすぐに笑顔がつくれるな。こわいわ。


「はい。日野ちゃんチョコ味だよな」
「うん。お疲れ様」


アイスを買ってこいと言った私にきちんと望み通りのものを渡してくる日野雄大。

だけどちゃっかり自分の分も買ってきている。

まあいいけど。どうせどっちもこいつのお金だし。


「日野雄大バニラなんだ」
「うん。ちょっと食べる?」
「……いらない」
「あっそ」


日野雄大は何がおかしいのかクスクス笑っている。何なのこいつ。