「いらっしゃいませ」



中にはいると、昨日の男のバーテンダーさんが迎えてくれた。
カウンター席に座ると、意を決して話しかける。



「あの、すみません。私・・・」

「ああ、君。昨日の」

「あ、覚えてますか?すみません、ご迷惑をおかけしてしまって」



深々と頭を下げるとバーテンダーさんは優しく笑った。




「それにしても驚いたよ。あの春が、連れ帰るなんて。春だから平気だと思うけど、大丈夫だったかい?」

「はい!春さんには、本当によくしていただいて・・・。本当に素敵な人ですね、春さんって」

「客相手の気遣いは美味いやつだけど、プライベートに関してはそうでもないし、あまり自分のテリトリーに人を入れるのを嫌う方なんだけど・・・」

「え、そうなんですか?」



そうには思えなかった。
ものすごくかいがいしく世話を焼いてくれていたし。
多少、あまり踏み込むなって感じの空気は感じたけど。