社長のものになってから、今日で1週間を迎えた。

「夏梅」

その日の朝も社長室に入ると、社長はあたしの名前を呼んだ。

社長室にはあたしと社長の2人だけだ。

「何でしょうか?」

そう聞いたあたしに、
「君はいつ俺のことを名前で呼んでくれるんだ?」

社長が聞き返してきた。

「はい?」

何を言っているんだ、この人は。

そう思いながら聞き返したあたしに、
「俺が君のことを名前で呼ぶのは2人きりの時だけ…と言うのは、この間決めたな?」

社長が言った。

ああ、そう言えばそんなことを言ったような気がする。

他人事のように思いながら、
「そうでしたね」

あたしは言い返した。