古代ロマンが眠る、とある遺跡の奥深く

多年草の蔓に 守られるように美しく輝く
深い青の巨大な宝石に 1人の少女が 眠っていた。
酸素ボンベで 呼吸はしているが、微動だにしない。

その近くに石碑があるが、 所々掠れて読めない。
『時… す… 巫… こ… 眠…
願わ…ば… 和…世を…』

時? 和世? 何の事だろうか。
ふと 足元を見ると お守りが落ちていた。
『紅月』と かすれた文字で名前が書いてある。

落とし主が 困っているかもしれない。
そう思い、 後ずさった時 パキッと 細い枝を踏むような音が聞こえた。

音がした方を振り向くと、 宝石に寄り掛かるようにして死んでいる 白骨の屍が在った。

ボロボロの 水干、 烏帽子等の服装からして
昔の人なのは分かるのだが 彼は一体…

腹部あたりにサビた刃物が刺さっていることから 殺されたのは間違いないだろう。

― 何故この場所に? 何か理由があっての事なのか…?

私は 再び石碑を見た。

一体この石碑は 何を伝えたかったんだ?
石碑の文字をメモ帳に 走り書きし、 その場をあとにした。

遺跡を出ると 太陽の光が 眩しい。
私は ポケットから携帯を出し 電話をかけた。

「… 嗚呼、 ルミナか? 少し手伝って欲しい。」