彼女と別れてから1日が経った、土曜日。
僕はバイト終わりに、同じ大学に通う親友の芹田隆弘と普段はあまり呑まないお酒を、お肉にかぶりつくかの如く呑んでいた。
「おい、楓純…お前どうした?」
「ひーくん~僕、フラれたぁ…ぅぅっ…慰めて~」
「は?なんだよひーくんて!…引っ付いてくんな」
普段呼びもしないあだ名を言って腕に絡みついて甘える僕を、隆弘は即座に引き剥がして体をこっちに向ける。
なんだよ…。
冷たいなぁ。
僕は今、フラれて絶賛癒され待ちなの!
あ~あ、何でかな。
あのまま引き留めてれば良かったと、凄く後悔している。
あの時は自分でも怖いくらい冷静沈着だったけれど、時間がすぎる度にだんだんと実感していって
急に、とてつもなく切なくなった。
同時に凜菜が恋しくて、まだアドレスも消せないままでいる。
元カレにされ、ストーカー呼ばわりまでされたとはいえ、たった1日前までは最愛の彼女だったんだ。
許せばよかった。
許して、まだ関係を続けていればよかった。
今更になって、そんな身勝手な欲望ばかりが思考回路を蔓延る。