そして折崎さんと仲直りしたあの夜から一週間が経った土曜日。
全く会わずにいたけれど、でもあの夜から僕等の関係は進展し、頻繁にメールのやり取りをするようになっていた。
内容は他愛もない会話から、お互いの趣味など様々だ。
中には『今何してる?』っていうメールが来て、『ご飯食べて借りてきたDVD観てます』なんて返したり。そんなやり取りもあった。
まだ折崎さんに対する気持ちがハッキリしないままだけれど、不思議と悩むことはなくむしろメールして折崎さんと話せてるということが楽しくて、今では半分日課みたいなものになっていた。
そのやり取りの中で、今放映中の映画が気になっていると送ったら、折崎さんの提案で明日その映画を2人で観に行くことになって、とてもワクワクしている。
そして現在、その前日なんだけど今日発売される本を買おうと、たくさんの人々で賑わう街の中心部にあるアニメや本などを専門とした店に来ていていた。
本を買う前に、アニメのグッズなんかもみようと3階に立ち寄ってグッズを物色していたんだけど…。
「あれ?楓純じゃーん」
「隆弘…どうしたの?」
偶然にも隆弘とあるアニメグッズのコーナー付近で出くわした。
あれ、確か隆弘は今日バイトじゃなかったっけ?
「バイトは?」
「訳あって遅番でさ」
「そうなんだ」
「牧原いるじゃん?あの娘に代わってくれって頼まれちゃってさ」
肩を落として、首を左右に振る隆弘の表情はやれやれといったような表情だった。
なんかあったのかな。
「だからここに?」
「まぁ、気分転換っつーか…」
「隆弘?」
やっぱりなんかあったらしい。
見る見るうちに陰ってゆく隆弘の顔色が、そのことを物語っていた。そんなに落ち込むような出来事って…なんだろう。