あれから三週間。

恵介はただの貧血ではなかった。
倒れた原因は貧血だけれど、その貧血は疲れからくるものだけではない。

胃がん、だった。

「まだ進行してないから発見が早くて助かったな。」
「えぇ。良かったです。」

上司の立川春樹がそう言って検査結果をデスクに置いた。

「でもまさか、お前にも彼氏がいたとはな。」
「だから、彼氏じゃないです。」

「お前が貧血で倒れた患者にあそこまで必死になってるのは好きな奴だからだと思ったんだけど。彼氏じゃねえの?」
「ただの飲み友達ですよ。」

「へぇ。」
「何ですか、その顔。」
「いーや、何でも。」