なつきと付き合いだして、はや2ヶ月が経とうとしていた。


俺は今、とても焦っている。

かなり、焦っている。


「春樹ーーー。時間が経てばたつほど、告白ってものは言いづらくなるものだよ?」

「わかってる…。」

そう。俺は、あれから2ヶ月も経っているというのに、未だ一度足りともなつきに自分の気持を伝えきれていない。

なつきばかりに、好きと言わせてばかりで、最近なつきに『春樹くんはあたしの事好き?』とまで聞かれてしまい、戸惑っていた。

俺だって…好きなんだ。本当に、今までの女が何だったのかというほどに、、、ただそれだけ好きだからか、なんだか改めて伝えるのが恥ずかしくて仕方ないのだ。

みかねて、周囲の中で一番恋愛経験豊富そうな(俺もかなり豊富ではあるが)国彦に相談していた。

そもそも、なつきから好きだと言われる前に言いたかったという、変なプライドもあいつに簡単に壊されてから、なんだか逆にこのタイミングで愛を伝える意味もわからなくなり…と言うよりはとても恥ずかしくて言えたもんじゃないのだ。

「春樹って自分から誰かに好きって言ったことないもんな。」

頬杖をつきながら、国彦は面倒くさそうな顔でコーヒーを飲んでいる。
おまけに、声もかなり気だるそうだ。

……まぁ。喫煙室で昼間っから、こんな乙女な相談うけちゃ、そうゆう反応になるよな。

「国彦だったら、どうする?」

「…まぁ、俺だったら普通に、家に泊まらせて夜、ベッドの中で囁いたりするかな…って、あっちゃータバコきらしてる。春樹タバコ分けて。」

そう言って、国彦は俺に手を差し出す。

「やめた。」

「…は?」

俺は、一呼吸おいて、もう一度言った。

「だから、タバコはやめた。とりあえず3ヶ月は吸わないことにした。んじゃあおれ先、オフィス戻っとくな。これあまりだけど、全部吸っちゃっていい。」

「ちょ!!!おい!!」

国彦の言葉を最後まで聞かず、喫煙室を出る。

まあ、いつまで続くかわからないこの禁煙生活も、あまり苦ではないのは、絶対になつきのお陰であることは間違いない。

「あーーー、会いてーな。」


そう言ってネクタイを直しながらエレベーターに乗った。






さておき、禁煙室では、取り残された国彦が唖然としていた。


「…おいおい。まじでなつきちゃん愛されてんね…あのヘビースモーカーが禁煙とはな……。」