暗い夜の丘の上。 私の暮らす町は炎の海に呑まれていて昼間のように明るい。 まるで、地獄を見ているようだ。 どうしてこんなことになってしまったのだろう……。 ボロボロの着物の袖をギュッと握りしめる。 「まだここにいたのですか」 その声に振り返る。 夜だがその人物ははっきりと見える。 「早くお逃げになられてください」 その言葉に首を横に振る。 目からは温かいものが零れる。