「具合はどうだ」

巽が病室に入ってくる。

「あ、巽さん♪」

ベッドをリクライニングした状態で、環はファッション雑誌を見ていた。

…マハルーチカの象男に襲われ、彼女は一週間ほど入院していた。

目立った外傷はなかったが、車体に酷く叩きつけられた事もあり、大事を取っての事だった。

「病院の外はマスコミが煩いぜ。警察の俺にまで、お前の様子を訊いてきやがる」

煩わしそうに言う巽。

「ちょっと嬉しくないですか?芸能人気分で」

クスクス笑う環に。

「御免だね、ああ嗅ぎ回られちゃあ鬱陶しくてしょうがない」

巽は顔を顰めた。