夜の街を、倉本が1人歩く。

…手を出してしまったのはまずかった。

巽の事を窘める癖に、つい自分も拳を振るってしまう。

耕介を殴った事を、倉本なりに反省していた。

耕介の発言を窘めた事は、間違っていたとは思っていない。

しかし殴る事はなかった。

拳を使わなくても、耕介に分からせる事は出来た筈だ。

倉本は野獣達を率いる立場。

巽のように、血気盛んなだけで物事を押し通そうとしてはいけない。

如何なる時も冷静に対処しなくては。

…自分もまだまだという事か。

倉本は小さく溜息をついた。