翌朝、お父さんから今日の夜、こっちに着くように行くとメールが来た。気が重い。優木くんの言葉の意味も分からなくて、余計に疲れる。

昨日、優木くんが言った言葉。私に悪いけれど結婚式はする。何度もどういうことか問いかけたけれど明日、話すからの一点張り。結局、夜遅く優木くんは帰ってしまった。


「申し訳ございません。こちらのツアーは好評いただいておりまして、予約が殺到しておりまして今は、キャンセル待ち状態なんです」



今日も朝から予約の電話が鳴り止まない。中でも体験型ツアーは大人気で予約の電話が来るたびに謝らなくてはいけない。今日、何度申し訳ございませんと言ったことか。


「篠宮、今まだ手すきだから昼休憩行ってこい」

社長に言われてコンビニで買ったおにぎりとサラダとデザートを持って、また屋上にやってきた。


はあ。お腹は空くから食べるけれど夜のことを考えるとあまり味は感じない。優木くんは、何を考えているんだろう。


「お疲れ様でした」


なんとか定時に仕事を終わらせ、優木くんの車で自宅に向かう。その車中でも、優木くんは仕事の話ばかりで何も話してくれない。

お母さんに家の合鍵を預けてあるから二人はもう家に着いて、中で待ってるはず。