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「手を上げなかったのは立派だが、その気がないなら伊万里(いまり)に近づくな」


 1年生の七瀬 伊万里(ななせ いまり)さんと付き合うことになった翌日。

 昼休みの最中に、俺は同学年のC組に在籍している枇々木 亜聡(ひびき あさと)に呼び出された。

 ここは裏庭。
 あまり人通りもなく、ただただ並木道が続いている寂しい場所でもある。


「それは恋人としての忠告か?」

「違う! 伊万里は俺にとって妹のようなものだ」

 俺が(たず)ねると、彼は直ぐさま首を横に振った。