(あれ…なんだったんだろう…)


家に着いてからも、春空の意味深な笑顔が頭から離れない。


「千音ー。何ぼけっとしてんだ。」


先生がどんなに近づいてきても、全くうろたえることが今日は無かった。


「せんせー。男の子ってよく分かんないですね」


「何だ?何かあったのか?」


春空の事を先生に話していいものか、一瞬迷ったけど、先生に隠し事は出来ない。


「あの例の転校生を家まで送って行ったんですけど、最後に意味深な笑い方したんです。」


「意味深?はぁ。」


間抜けな声を出す先生なんて滅多に見られないのに、何でかな。


「てか、お前どんだけそいつと仲良くなったんだよ。」


吐き捨てるように言った先生の姿を見て、ようやく私は現実世界に帰ってきた。


「あっ…そういう事じゃなくて。ごめんなさい。」


すっかり機嫌損ねちゃったな…。


「どうしたら許してくれますか?」


「キスしてよ。じゃあ許す。」


あー、そうですか…って…


「キスっ!?」