キーン コーン カーン コーン

チャイムの音で、HR が始まる。

「 みんな、わかってると思うけど、
明日は バレンタインだ。
好きな人にチョコを渡すのは
一向にかまわんが、学校が終わって からにしろよー 」

そんなこと、守る人 いないって。

「 先生ー 」

あ。 高井。

「 どーした、高井 」

「 お言葉ですが、バレンタインは
世界中の男子のカーニバルなんです。
好きな人から チョコをもらえるか
どうかは、明日という 一日だけに
かかっているわけで…… 」

高井、立ち上がって 先生に反抗中。

本当、無邪気だなぁ。

「 なんだ? 高井は 好きな人が
いるのかぁ〜? 」

先生の声で、教室中がニヤつく。

「 そっ、そりゃ、好きな人ぐらいは…… 」

え?

高井……

好きな人、

いるんだ………。

誰…… かな…。

なんて、

あたしなんかには……

関係……… ない… か。

って!

なに、ショック受けてんの!

誰だって、好きな人ぐらいいる って、

さっき 高井も言ってたじゃんっ。

別にそれくらい……。

やっぱり、ショック。

望みが減っちゃった感じ。

「 ハアー 」

あたし、昨日から ため息ばっかだなぁ。

「 立本っ、何してんの? 」

「 へっ? 」

顔を上げると、高井が立ってた。

「 もう、HR 終わったぞー。
何、ボーッとしてんの? 」

笑いながら 聞いてくる。

しまった。