教室に戻ると、俺の席の周りで女子が話し込んでいた。

「あ、唯斗ぉ、どこいってたの?」

「ごめん、職員室。」

そう言うと、先生ばっかり唯斗独り占めしてずるい〜、と、ブーブー言っている。

その群れに、ニコリと営業スマイルを向けてその席に座る。

そのタイミングで先生が教室に入ってきた。

彼女たちに、本当の俺が知れたらなんと言うだろうか。

昼休み、本当は気になる子に会いに行っていたと言ったら、どう思うだろうか。

昨日俺がしていたことを知ったら、どんな顔をするだろうか。

想像もつかない。

俺はずっと偽りの俺で生きてきた。

だから、わからない。

もう、自分でも何が本当かさえもわからなくなっていた。