「わぁ!!美味しそう!!令子ちゃんって、才色兼備なのね~!」


テーブルに並べた色とりどりの料理を前に、京子さんは声を上げた。


「そんなことありません。いつも拝見している奏也さんの料理に比べれば、簡単なものばかりでお恥ずかしいです。」


「何言ってんのよ!十分美味しそうよ!!凄いわ!!」


「ありがとうございます。口に合うか分かりませんが、どうぞ召し上がってください。」


「それじゃあ、早速………いっただっきま~す!」


京子さんは、年上なのに、たまに無邪気な子供の様な顔を見せる。

いつも世話を焼いてしまう、奏也さんの気持ちも分かるような気がした。


「ねぇ、令子ちゃん?こんな美味しい料理を、恋人にも振る舞ってるの?」


頬っぺたを、ご飯で膨らませて、京子さんが私を見てきた。


「いえ、彼の方が私より料理が上手いので、食べさせてもらってばかりです。」


「へぇ~………じゃあ、私と一緒ね!」


ニッコリ笑いながら京子さんはウィンクをした。

こんな甘え上手な所も、無理をしてなくて素敵だ。


「そう言えば、奏也さんは、今日はどちらに?」


「あぁ、私の陶芸の先生の所。暫く行けないから、届け物してもらったの。私が行きたかったのに、奏也が行くってきかなくて。」


「京子さん、忙しいのに陶芸もなさるんですか?」


「そうなの。最初は私のデザインした空間に置く為に求めたのが始まりだったんだけど、すっかりはまっちゃって、陶芸にも、先生にも。」


恥ずかしそうに話す京子さんは、まるで、初恋をした少女の様に頬を染めている。


(あぁ~…それで、奏也さんが無理してでも行ったわけね。)