新撰組(しんせんぐみ)


京の治安を守る、会津藩預かりで警察活動をする非正規の武装組織だ。


浅葱色の羽織に誠を掲げた彼らは、後々にも語り継がれるほどの歴史を残す。


その彼らの屯所内の一室、一人の男の言葉により周りにいた数名は困ったように頭を抱えた。


「また、ですか…」


数を数えると、部屋の中には男が五名。


眼鏡の男の考えた事に対しては、それを告げた男も、残りの三名も同感だった。


ここ最近、ちょうど雪の溶け切った春先から、真夜中に武士が斬られ朝方に死体となって発見される事件が立て続けに起きている。


未だに犯人の手がかりはなく、一度も姿を見たことがないため、今一番の新撰組の悩みの種でもあった。


殺人が数件続いた時には、夜間の巡察を増やしたりもしたが、元々町民たちから良く思われていなかった新撰組は「迷惑だ」とさらに批判の声を買い、やむなく中止に。


結局は貼り紙などで注意を呼びかけるという結果に終わった。


それからは夜間の外出もできるだけ避けられているらしいが、結局今でも事件は続き被害者は数を増すばかり。