「……えっ?」 振り向くと、寝ている原田さんの口から誰かを呼ぶ声。 寝言ってやつ。 『かんちゃん』 もしかしてさっ? お腹の中にいる。 もう一人の親? 夢の中に出てきてんだな! 勝手な想像をした。 この何もない部屋で。 妊婦が一人で。 誰かを…待っている。 ……幸せか…… 多分。 原田さんは、この小さい部屋で。 俺には見えない。 『幸せ』を持って… 引越してきたんだな。