次の日の朝、高校三年間で一番早く学校に着いた。

卒業を前に、寝つけなかったというわけではない。



昨日、水谷さんの話を聞いて、心から本当に良かったと思えた。

そのとき、今までとは違う感情に気付いたのだ。


「しかし、こんな時間から学校って開いてたんだな」


まだ六時を過ぎたばかりで、来てみたはいいけど本当に開いているとは思わなかった。



ロッカーで靴を履き替え、廊下を歩く。



卒業式当日ということで少しは人がいると思ったが、時間が時間だけに全くいなかった。



そして、第二体育館へと着いた。



ここで出会い、様々な話をしてきた。



ここだけじゃなく、修学旅行やプラネタリウム、その他にもたくさんの思い出がある。



そこには、いつも彼女の姿があった。



今なら雅や董院さんの言葉の意味が分かる。



今日、はっきりとこの気持ちを伝えなければいけない。

彼女が勇気を出したように、今度はこちらが出さなければいけない。



そのためには、卒業式の前にどうしてもここに来ておきたかったのだ。