あの日から数週間、彼らはしつこいほど私にベッタリとくっついていた。
『お前、今日倉庫に来い』
『嫌よ』
『『レーちゃん! オセロしよ!』』
『2対1は反則よ』
『早く仲間になってくれませんか?』
『お断りするわ』
『……女。屋上で怠慢だ!』
『却下します』
こんな感じの会話が、日常の中で、当たり前になっていた。
『ねー、レーちゃん』
珍しくハモらなかった双子の片割れ、愛哉に声をかけられ、呼ばれた方に顔を向けてしまった。
『……何?』
『ボクと愛斗を見分けるコツ教えて⁇』
そう言って笑う愛哉に、首をかしげる。
『コツも何も、全部違うじゃない。
声も、少し愛哉の方が低い。
背は、愛斗の方が少し高い。
分かりやすいのは、発音。
愛哉は、ボク。
愛斗は、僕。
……これじゃだめ?』
これ以外コツなんて知らない。
てゆーか、誰でもわかることでしょ。
『……すごいね、レーちゃん』
感心したように言う愛哉を、疑問を込めた目で見つめる。
『何で』
『何でも、だよ。
だから、レーちゃん!
仲間になってよ!』
また来た。