高校1年生の春。私ー神崎由依ーは幼なじみの女の子ー高宮桜花ーと一緒に登校している。
「由依待ってー!!」
「桜花遅いんだけど」
「ごめんって〜」
桜花は少し天然が入ってて…たまにツッコミをするのが嫌になる。
「…由依って男だっけ??」
真面目な顔で聞かれて気が抜けそうになった。
「私は女だけど?」
「じゃあなんでサバサバしてんの?!」
「そういう女もいるだろうが!!」
正直…たまにうざくなるよ…好きだけど…
「わ、こらやめろ!」
「逃げんなって!」
なんか後方で騒いでる男共がいるな…私は関係ないけど…(((ドスッ
「痛っ…?!」
後ろの男子がぶつかってきて地面に倒れた。
「あ、ごめん!大丈夫?」
「お前か…私にぶつかってきたのは…」
昔から喧嘩買いまくりの私はつい威嚇してしまう。だけど…
「ごめんな!わざとじゃなかったんだ…!」
こうも真面目に謝られると戦意も失せると言うか…
「だ、大丈夫…」
こう答えずにはいられなくなるな…
(とりあえずクラス表を見に…)
桜花を呼ぼうと振り返ると
「へ〜!桜花ちゃんか!かわいい名前だね」
「そうかな?ありがとう〜」
チャラい男と喋っているだと…?!
「桜花!」
すぐに近づいて桜花の手をひく。
「クラス表見に行くぞ」
「はーい」
「じゃあ俺も!」
さっきのチャラ男が言った。
「お前は来んな」
「えー」
「馴れ馴れしいやつは嫌いだ」
そう言い放って桜花を連れてクラス表を見に来た…が…
「えっと〜…クラスは〜…」
「…見えないな」
私と桜花のコンプレックス…そう。背が低いことである。私はまだ157cmあるが桜花は148cmと…小さいんだ…。
(これじゃあ最後まで残るしかないな…)
「桜花ちゃん、1―Fじゃね?」
さっきのチャラ男がいつの間にか後ろにいた。
「チャラ男…!」
「チャラ男じゃないから!俺はー松田紘斗ーだから!」
「チャラ男」
「…それでもいいけど!!」
まったく…厄介な男に捕まったな…
「君は?」
振り返るとさっきのぶつかってきた男がいた。意外と爽やか系だな…。
「何が」
「名前」
「なんで」
「クラス表見えないんじゃ?」
「うっ…」
「この子は神崎由依だよ!」
「こら!桜花っ!」
「由依ちゃんかー」
「気安く呼ぶな!!」
「神崎さんも1ーFみたいだよ」
爽やか系少年はニコッと笑ってそう言った。
「…ありがと…」
「ちなみに俺らも1ーFなんだ。よろしく」
「え…」
「俺はー早瀬輝ー」
「……よろしく」
これが私と早瀬の出会いだった。
「席はてきとーに決めておいたから」
担任はだるそうにあくびをしながら黒板に紙を貼った。
「あ、紘斗君の隣だ!」
「やったね!」
「由依は…窓側の一番後ろ!私の斜め後ろだね!」
「そして俺の後ろか!」
「チャラ男の後ろとかやだ」
「神崎さんの隣だ。」
早瀬はまた笑顔でこっちを見てくる。
(笑顔が眩しいぞ…イケメンか)
「…ふん」
「神崎さんはさ、好きなことある?」
「…」
馴れ馴れしいのはこいつも一緒か…
「由依はね!ゲームが好きだよ!」
「こら桜花」
「そうやって人と関わらないのは由依の悪い癖だよね!」
「うっ…」
図星を付かれて言葉に詰まる。
「ゲームかー…大乱闘とかマリカーぐらいしかしないなー」
「…マリカー…」
「ん?」
こんなこと自分から言ったことないけど…
「…対戦してやってもいいよ」
「ほんと?なら今度ゲーセン行こう!」
「私も!」
「じゃあ俺も!」
「…来んなチャラ男」
「ひどっ!」
どうやら私たちは意外と仲良くなれそうだ。