【桜菜side】



「私の家、ここ」



なんなの、もう……。
まさか、林と一緒に帰ることになるなんて……。



しかも、家まで送ってもらうことになるなんて思ってもいなかった。
今日の林、優しいからちょっと調子狂う……。
林のクセに優しいなんて、ヘンな感じ。
胸がなんだかドクドクするっていうか……。



「そっか。じゃあな」



「気をつけてね。ありがと」



「お、おう」



私が手を振ると、林もぎこちなく振りかえしてきた。



「……って、帰らないの?」



林は手を振るだけで、まったく引き返そうとしない。



どうしたんだろう?



「お前が家に入るのを見届けるまで帰らない」



「なにそれ」



……ヘンなヤツ。



思わず、ぷっとふきだす。