月曜。

あたしは駅にいた。


こんな時間に起きるなんて、朝の弱いあたしにはありえないんだけど。


ガタンガタン…


「この電車かなぁ…?」


はぁ…

手袋の上から、手に息を吹きかけた。

さすがに2月。

寒いなぁ…



「えっ?! 美雨??」


「小夜ちゃん、おはよ」


「おはよ…

じゃなくて、どーしてこんな時間に?」


「約束したから。

お兄さんを進級させるために、一緒に頑張るって」


約束したけど、何をしていいかわかんなくて、とりあえず一緒に登校しようと思ったの。

でも、電車の時間がわかんなくてこの駅に着く一番の電車から待ってたんだ。



「…はい」

あたしの目の前にココアの缶が現れた。


その手の先には…


お兄さんがいた。


「ありがとうございます…」


小夜ちゃんと話している間に買ってくれたんだ…

ココアを受け取ると、ジンワリ手に温もりを感じた。


あのときのことを思い出して、つい顔が緩んだ。


「どーした?」

小夜ちゃんがそんなあたしを見逃さなかった。


「あっ、うん…

この前、シドさんもココアをくれたなぁと思って。

凍えてたあたしを温めるために、他にもたくさん買ってくれたんだけど…」



へへっと笑うと


「へぇ…」

小夜ちゃんは、お兄さんに薄ら笑いを浮かべて見てた。


今度はあたしが、


「どーしたの?」


「なんでもないよ!

アイツ、いい奴でしょ?」


「うん!」




お兄さんが歩き出したので、あたしたちも慌てて後を追いかけた。


すごくいい人だけど、嫌われてるから気をつけないとね…