可南子は、溜まっている仕事を一つずつ片づけていた。
オフィスの中も、帰宅する人達が増えている。

想太は部長室でしばらくは仕事をしていたようだが、今は、空いているデスクの椅子に腰掛け美咲を含めた若い女子社員と談笑していた。

可南子のデスクから、その様子がよく見えよく聞こえた。
可南子は、想太が、二人の関係を美咲達に普通に話してしまうのではないかと内心ひやひやしていた。


「部長の特技は?」



「スポーツはほぼ全般何でもできる。
しいて言えば、バスケットを中高ずっとやってた」



「趣味は?」



「バイク。
実際、愛車は車じゃなくて、オートバイ」



質問攻めの想太は、まんざら嫌そうでもなさそうだ。



「バイクの後ろに彼女とか乗っけて、ツーリングとかするんですか?」



美咲がさりげなく彼女の存在を探ってきた。