その日は母上の誕生日だった。

私は母上に喜んでもらおうと、
村が位置するよりももっと深い山奥へまだ日が明けきらないうちに向かった。

4羽ほど大きな雉を捕まえることができた。
早く帰って母上を驚かせてやろう・・・。
気付くと、山の裾に日が差し掛かっていた。
もうそんな時間か、早く帰らないと。
鳥を抱え、帰路を急いだ。


村に近づくにつれ焦げ臭い匂いが鼻をかすめた。

おかしい。


根拠は何もない。
心臓ばかりが激しく暴れており
言いようのない焦燥感に襲われた。

早く村に行かないと。
足を精一杯動かし、山を駆け下りた。






目の前の光景を疑った。
家屋は炎に覆われ、道には見知った村の人が血を流し倒れているーーー

両手に抱えていた鳥を捨て、私は急いで村へ飛び込んでいった。