「なにしてんの。早く入りなよ」



「……だ、だって……」



あたしは今、かたまっていた。


なぜなら、数時間前の有馬くんの言葉の意味がようやくわかったから。



相合傘をしながら辿り着いた先は、なんと、有馬くんのおうちだったのだ。



「早く。体濡れてるし、風邪でもひかれたら困る」



「でも、急に来ちゃって申し訳ないよ」



手土産とかもないし……。



「俺がいいって言ってるんだから大丈夫。今家に誰もいないし、気遣う必要ないから」



「……っ!!」



いや、気なんて遣ってないけども!


家に誰もいないって、 それ、ふたりきりってこと!?



逆に意識しちゃうよ……!