「おー、琉衣斗じゃん。偶然だな」



病院からの帰り道。


メイン道路の歩道を歩いていると、向かい側からやって来た朔真が声をかけて来た。


朔真のハデな金髪は、人混みの中でも良く目立つ。


なおかつ、うるさいから遠目でもすぐに気付いた。



朔真の隣には、まつ毛を盛りに盛ったハデなギャルがいて。



「矢沢君じゃん‼︎」



俺を見てテンション高めに目を輝かせ始める。



誰だよ。


知らねーよ。


何で俺の名前知ってんだよ。



甘ったるい香水の匂いに、うっと何かが込み上げて来る。


俺は女をムシして朔真を見た。



「ひとりなんて珍しいな。どこ行くんだよ?」



「病院行って来た。帰るとこだよ。じゃあな」



さみーし。


正直、早く家に帰りてー。



「病院?なに、風邪でも引いたわけ?」



「そんなんじゃねーよ」



「ふーん。今からカラオケ行くけどお前も来いよ。お前が来たら、隣のクラスのアイミちゃんも来るって言ってたし」



「わりーけど、今日はパス」



それに、誰だよアイミって。


知らねーし。


お前も……女の前で良く他の女の名前が出せるな。


隣の女、めちゃくちゃ睨んでるぞ?