捌きが終わる頃、炊飯器と器を持った佳奈さんが船着き場にやって来た。
左手に帆崇君の手を握り、離すまいと必死になっている。
「なんや佳奈、手ー離したればいいのに」
釣り竿を持ったまま、くわえ煙草をしている星流はそう言った。
「この子、離したら海に飛び込もうとするから離せんのよ!」
母親の手に喰らい付きながら、もがく少年。
一番のわんぱく盛りを邪魔されて暴れ回っていた。
「飛び込ませろや!オレらも子供の頃ようやった!」
父親は寛大だ。
むしろ、放任といっても過言じゃない。
「あの船着き場の端からよう飛んだなー!『バンジー!』とか言うて!」
「そのまま遠泳とかもザラだったな!」
またしても思い出話に発展する。
佳奈さんは炊飯器と器の入ったバッグを下ろし、帆崇君を抱き上げた。
「あんたらの子供ん時とは違う!今は漁協権やら何やらで、やたらと海に飛び込めんようになっとるんよ!」
呑気で羨ましいわーと呆れる。
そんな彼女の持ってきた物を広げ、ご飯とお刺身を盛った。
「ご飯できたよー!」
澄良の高い声が響く。
魚を釣っていた男性達は竿を上げ、組み立て式のテーブルに集まった。
「生姜とワサビ、どっち付ける?」
サービス精神旺盛な澄良が聞いて回る。
最後に波留の所へ行き、「生姜だったね」と聞かずに乗せた。
(あれ…?)
変な違和感を覚えた。
左手に帆崇君の手を握り、離すまいと必死になっている。
「なんや佳奈、手ー離したればいいのに」
釣り竿を持ったまま、くわえ煙草をしている星流はそう言った。
「この子、離したら海に飛び込もうとするから離せんのよ!」
母親の手に喰らい付きながら、もがく少年。
一番のわんぱく盛りを邪魔されて暴れ回っていた。
「飛び込ませろや!オレらも子供の頃ようやった!」
父親は寛大だ。
むしろ、放任といっても過言じゃない。
「あの船着き場の端からよう飛んだなー!『バンジー!』とか言うて!」
「そのまま遠泳とかもザラだったな!」
またしても思い出話に発展する。
佳奈さんは炊飯器と器の入ったバッグを下ろし、帆崇君を抱き上げた。
「あんたらの子供ん時とは違う!今は漁協権やら何やらで、やたらと海に飛び込めんようになっとるんよ!」
呑気で羨ましいわーと呆れる。
そんな彼女の持ってきた物を広げ、ご飯とお刺身を盛った。
「ご飯できたよー!」
澄良の高い声が響く。
魚を釣っていた男性達は竿を上げ、組み立て式のテーブルに集まった。
「生姜とワサビ、どっち付ける?」
サービス精神旺盛な澄良が聞いて回る。
最後に波留の所へ行き、「生姜だったね」と聞かずに乗せた。
(あれ…?)
変な違和感を覚えた。