澄良と2度目に会ったのは、それから2日後のことだった。旦那さんの海斗さん達と一緒に、島の居酒屋で飲まないか…と誘われた。


「夜はうちに泊まったらいいよ!久しぶりにゆっくり話そっ!」

押し切る様に話を進め、ウキウキと電話を切った。

……男性も女性も大勢来る…と澄良は言っていた。

人混みに紛れながら飲むのは好きじゃない。
特に今は、そんな気分にもなれない。

時折ひどく落ち込む。
そして、どうしても泣いてしまう。

お酒を飲むと、それが加速してしまいそうで怖い。


(少しだけその場に居て、直ぐに帰ろう)

……そう思った。




木曜日の午後6時。『漁火』という名の居酒屋には、若い男女が大勢集まっていた。
漁をしない若者達が集まる場所。そう澄良が話していた通りだった。

そこには高校時代の友人でもある入江那海(いりえ なみ)の姿もあった。



「夕夏じゃーん!」

久しぶりぃ…と抱きつかれた。酔っ払っている彼女は、既に足元が覚束ない状態だった。

「だ…大丈夫⁉︎ 」

目がトロン…としている。那海はヘラヘラと笑って、「ヘーキ!」と答えた。


「……夕夏!」

店の奥から澄良が呼ぶ。
おいでおいで…と手招きをされ、そっちへ行って顔が引きつった。


(この間の…野ザル!)

声には出さないけど、顔には出ていたらしい。
相手は私の顔を見るなり、ピクッと眉尻を引き上げた。