神さまなんていない。
あの日から、ずっとそう思ってた。



もしいるのなら、教えてほしい。
私はなんのために生きているのか。



もしいるのなら、助けてほしい。
消えない過去を、消えない記憶を消し去って。




そんな事、できるわけないのに。



都合よく記憶なんて消えないし。
震える身体も、止まらない。



そんな事、ずっと前から知っている。




空を見上げ、流れる雲を追いかけながら小さく息を吐いた。
弱い心は、どうしたら強くなるのだろう。


私は逃げた。
弱いから。

現実から逃げて。
殻に閉じこもって隠れて。



そんなことしても、なにも変わりはしないのに。





「梨乃、いたいた」



屋上の扉が開き、顔を出した女の子。
心配そうに私の顔を見て、屋上に出てくる。