ルーカスさんとの出逢いは
わたしの兄がキッカケだった。

今から3ヶ月ほど前のこと

そろそろ眠ろうか、とリビングでテレビの電源を落としかけたとき
ピンポーンと玄関のチャイムが鳴って、思わず眉をひそめた。

こんな時間に、だれ…?

兄は毎月恒例の飲み会で遅くなると言っていたけれど
鍵を持っているからチャイムを鳴らすことは、あまりない。

恐る恐る玄関の魚眼レンズから覗くと
そこには赤い顔の兄が誰かに支えられるように、だらりと立っていて
慌てて扉を開けた。

「お兄ちゃん、どうしたの!?」

「よお、麻友子(まゆこ)久しぶり、久しぶりだなぁ」

へらへらと笑う兄の口からはアルコールの匂いが伝ってきて
全然久しぶりじゃないし、朝見送ったばかりだよ。とツッコミを入れる間もなく
兄の隣に立っている人を紹介された。