「はあ………」 「なに、何かあった?」 資料に目を通しながら、 向かいで溜息をつく大地に声をかける。 来週の学会に向けての準備のために 大地を呼んで作業をしていた。 「優苗のことなんだけどさあ」 「うん」 「つわり、きつそうなんだよ」 「ああ………でも薬出せないしな」 「だよな…」 結局大地にとっては何も解決していないことになる。 とはいっても、赤ちゃんへの影響を考えると薬は出せない。