その犯人は彼でした



「ひどい……」


「んー?」



何が?と無邪気にこてんと首を傾げる姿に、あたしは恨みを込めて睨みつけた。


昨日、合コン終わりに誘われてなしのん兄と話していたときにやって来たかと思えば、そのまま有無を言わさずに桃の家に直行、しかもベッドの上に押し倒されて。


そ、そりゃ長年心のうちに秘めていた想いが一方通行じゃなくなったのは嬉しいけど、だからと言ってこれは酷すぎると思う。



「ひどいぃぃ……っ」


「だってハナが煽るから」


「そんなことしてないもんっ」



というか煽るって何よ!?あたしがいつそんなことをしたんだ!!全く以て記憶がない!


というか残念ながらと言っていいのか定かではないが全てに於いて記憶があやふやで鮮明じゃない。なんていうか、高熱に浮かされていた感じ。


これは夢だったんじゃないかと疑いたくなるところだけど、指1本動かすのにも億劫なほどに疲弊した体と下腹部に微かに感じる鈍痛、そして肌の上に残された紅い花が現実を如実に現していた。



「あたし、初めてだったのに……」



言っていてカアッと自分の顔が熱くなるのを感じて思わずベッドシーツを頭から被った。


そうだよ!あたしは昨日が初めてだったんだよ!?


なのに…なのにぃ……!!



「桃ったらちょっとは手加減してよぉ……!」