ずっとそうなればいいと―――思ったことがないと言ったら嘘になる。

ただ側にいれたらいいと、本気でそう思っていたことも事実だけど、彼女として隣にいれたらいいなと…そう思ったことも何度かあった。

でも彼は絶対にあたしを、あたしなんかを好きになるとは思ってなかったし、今でもまだ夢を見ているようだ。

まるで花火大会の日からずっと―――あたしの妄想の世界なのかと思うくらいに。


「もしもし、うん、明日9時にうちに。うん」


あの日から中学に入って一度もかかってこなかった柊からの電話が頻繁にかかってくるようになった。


「え?今?部屋でテレビ見てるよ」


それも別にこれといって用事はなく、たわいのない話ばかりで、それが何だか余計に嬉しい。


「でもそんなに海行きたかったなんて知らなかったなー。中学に入って四人で出かけるって花火大会以外で初めてじゃない?」


海に行こうと誘われてから3日目。勉強ばかりじゃなんだから、息抜きに四人で海に行こうということになったのだが、あたしはあまり乗り気ではない。