「咲!言うことを聞けっ!」



バシン、と大きな音が響く。



「はい……」



頬が腫れて大変な時にも、私は慣れたように放っておく。



涙は人前では流さない。



それは両親の前でもそうだ。



人間なんてコロッとすぐに変わる。



実際両親はすぐに変わった。



母親なんて私を無視し、姉を優先。



父親なんて私を殴り、実子である妹優先。



私の家族は、血の繋がっている姉だけだ。



私は恐怖から逃げるように、自分の部屋に匿う。



ベッドに潜り、息を潜めた。