「一華、ごめんね」

『ううん、仕方ないもん。応援してるか

らガンバってね!』


「うん、ありがとう!塾が休みの日は、

また寄り道しようね」

『ほんと?やったあ!!』


「うん!じゃあ、一華もガンバって!」

『うん!じゃあね、紗夜』


紗夜が、大学受験に向けて塾に通うこと

になり、一緒に帰れなくなった。


『…寂しいな』


ドドン!!


ヤバイ!!太鼓の音だ!!練習始まって

る?!怒鳴られる前に、行かなくちゃ。


「テメエ、遅っせんだよ」

『ご、ご、ご、ごもんなさいっ!』


「ごもんなさい?アホだろ!」


うああ、やっぱり怒鳴られた。しかも、

口が回らなくて、二重に怒られちゃった

よ。


「桜南必勝の!花吹雪!ソイヤッ!!」


ドドドドン!!


「桜南!!桜南!!ソイヤッ!!」


今日も、応援練習に熱が入る。


カッコイイなあ、琉聖くん。あんな人が

私の彼氏だなんて、まだ信じられない。


けど、恋人らしいこととか、何もしたこ

とないな。一度、キスされたけど。


デートしたいなあ。


遊園地とか、カフェとか、ショッピング

とか。


「一華ッ!やる気あんのか!!」

『は、はいっ!!』


ヤバイ!練習中だった。