葵さん目立ってる。


ううん、浮いてるっていった方が、正し

いかな?美人だから目立ってるんじゃな

い。葵さんの外見は本屋という、真面目

で静かなイメージに馴染まない。外国人

と見間違ってしまうような金髪のロング

と、キャバ嬢みたいなバッチリメイクが

ここではどうしても浮いてしまう。


「ねえ、あれうちの生徒じゃない?」


紗夜が、葵さんに気づいた。冷めた目を

してる紗夜の表情を見て、私と同じ印象

を持ったとすぐに分かった。


『うん、一緒に不良してた』

「そうなの?!華島 葵さんよね?」


『えっ?紗夜、知ってるの?』

「だって、知る人ぞ知る、華島さんよ」


『ええっ?!何それ?』

「華島さんはね…あっ!!」


『「あっ!!」』


『「彼氏がこっち向いた!」』


『「きゃあー!!見たい!見たい!」』


彼氏の顔を見れるチャンスに、つい興奮

してしまった。絶対に見逃すまいと私達

は立ち止まって注目した。


あ、あの人は…


葵さんと手をつなぎ、大切そうに歩道へ

とリードする彼氏は、私達の知っている

人物だった。


『彼氏だよね?』

「たぶん」


『手もつないでるしね?』


私は、見てはいけないものを見てしまっ

たような気がした。もしかしてコッソリ

付き合ってるのかな?私と紗夜は二人の

秘密にすることにした。